あらすじ
剣術道場の師範である時任守は苦渋の選択を迫られていた。江戸時代より続く流派が今、消滅の危機にさらされているのだ。新しい入門者がいないのである。
今や平和な日本で武術が栄えるわけもなく、その美しさを広めようにも技は門外不出という代々続く掟があり、公の宣伝が出来ない。時任は周りの反対を押し切り、公での演武披露を企画するが・・・。日本の伝統武術が現代に抱える問題点が浮き彫りになっていく。
今の時代になぜ伝統武術は受け継がれ、そして何を守っていくべきなのか?演劇と伝統武術がコラボしたヒューマンコメディ!
製作背景
現代の剣術における最大の課題は「継承者が十分に育成されていない」現状にあります。
ブランドのある一部の流派を除く大半の流派は、入門者を確保しなければ継承者が育たず失伝になる可能性を抱えています。
その要因の一つに、「剣術は見世物ではない」という自己鍛錬を本質とする精神性が重視され、一般人の前に姿を見せる機会が制限されている現状が挙げられます。
かつては「人を斬る刀」として存在していた事実が、現代は「人を斬らぬ刀」としてその存在意義を求められている。多くの矛盾が共存している現代において、この先の剣術の在り方はどうあるべきなのか。
この作品は、そんな矛盾や継承者不在の危機を体験してきた実体験をもとに描かれており、剣術の世界の現状を知ることで、伝統の未来を考える機会になればと思い製作に至りました。